ついに診断確定
「この女性看護外来って、検査入院の説明の日にも書いてあった。
診察の後に入ってるって事は何かあるからだよ。
異常なしだったらそんなのあるはずない」
と、夫に言ったら「そうなの?」と軽く動揺した。
「良性でした」という、淡い期待は消えていた。
突然の告知でショックを受けないように、軽く予告してるんじゃないか、とさえ思った。
ため息をついて二人で言葉少なげに順番待ちをした。
一時間近く過ぎて夫が船を漕ぎ始めたころ、呼出音が鳴った。
「診断がつきました。
あなたは非浸潤性乳がんでした。
ステージは0期です。」
医師は報告書を見せながら説明を始めた。
報告書には「明らかな間質浸潤は認められないが、病変全体をみて評価する必要がある」
と書かれていた。
ああ、やっと診断がついたんだ…と、
告知を受けたショックよりも、このモヤモヤの日々からようやく開放されるんだ、という安堵の方が正直強かった。
人間ドックで要精密検査になって、T病院を受診し始めてから四ヶ月が経っていた。
ステージについての予備知識が全然なかったため、がんでも0期なら良かった…
と一瞬ホッとしたが、医師の説明を聞くうちに雲行きが怪しくなってきた。
「0期とは、ガンが浸潤していない状態だけど、あなたの場合は乳管の中を広がっている状態なので、全摘して同時再建するか、全摘になります。
来週の30日までにどちらにするか、決めてきてください。
この後詳しい話が看護師からあります」
と言った。
え?全摘なの?
0期なのに?
なんとなく他人事に思えて、もう涙も出なかった。
看護師からの説明によると、
○ホルモン受容体が陽性、HER2は陰性、Ki67値が低めで比較的おとなしいガンであること。
○浸潤がんだとしこりだけ取って温存ができるが、私の場合は乳管の中なので広範囲になるため全摘になること。
○全摘して、同時再建を希望する場合は、人工的なものを入れる場合と自分の組織で再建する方法があること。
○人工的なものを入れる場合は、組織を取ったあとに仮のもので皮膚を伸ばしておいて数か月経ってからシリコンを入れることになる。
○自分の組織でやる場合は、お腹か背中の肉を持ってくることになる。
切り取ってしまうと壊死してしまうので、血流を保ったままの手術になって10時間以上かかる。
後で血管を一本一本つなぎ直す…と、聞いてるだけでもうムリだと思った。
通常の生活に戻れるまで二ヶ月はかかるそうだ。
○同時再建になると、形成外科の先生の予定も抑えなければならない為、手術の予定が先になること。
○0期なので、全摘して終わりで、術後の治療はない。
ここまで聞いた時点で、私の中では全摘一択しかなくなっていた。
この日の医療費 840円